部屋で油絵を描きたい…でも匂いや汚れが気になってしまう。そんな時におすすめの、ほぼ無臭で乾燥前なら水でも落としやすく、乾きが早い「アクリル絵の具・リキテックス」をご紹介します。
私は絵が好きで美術展によく行きます。中でも巨匠の油絵を見るのが好きです。自分自身も絵を描くので「重厚なタッチの油絵を描きたい」と思いますが、部屋で油絵を描くには気になることが多々あります。
- 油絵の具は家具についてしまうと落ちない
- 溶き油においが気になる
- 溶き油の揮発性のある有害物質が心配
- なかなか乾かないため絵を仕上げるのに時間がかかる
などなど。アトリエがあれば良いのですが、庶民なので諦めざるを得ませんでした。そんな悩みを解消してくれたのが、アクリル絵の具の「リキテックス」でした。
リキテックスとは、最高級顔料を使用したアーティスト用アクリル絵の具です。リキテックスを使えば、匂いを気にせず油絵風の絵を描くことができました。
学生時代美術科の学校に通っており、油絵の他に「水彩」「日本画」「アクリルガッシュ」などの画材を使用しました。そのなかでも“油絵タッチの絵を気軽に描くことができる画材”は「アクリル絵の具のリキテックス」が一番だと感じています。
アートイベントでリキテックスで描いたイラストを飾っていると、見てくださる方に「油絵ですか?」と聞かれることが多いです。実際にリキテックスで描いた絵がこちら↓

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アクリル絵の具・リキテックスではどれくらい油絵風に描けるのか
出典元:amazon
私が大好きな画家の一人に、ドイツの画家「ミヒャエル・ゾーヴァ」氏がいます。ゾーヴァ氏の写実的な絵は油絵にしか見えません。(映画・アメリに登場する犬やワニの絵が有名です。)展覧会で実物の絵を見てもどう見ても油絵でした。ところがゾーヴァ氏の使用画材展示コーナーにはリキテックスがありました。また、アトリエの写真を見たところ大量のリキテックスの写真が載っていました。(全ての作品がリキテックスという訳ではないと思います。)しかし、ゾーヴァ氏がリキテックスを使用していることを知り、リキテックスの油絵風タッチの再現性の高さを感じました。
リキテックスが油絵風タッチにぴったりな理由
- 油絵のようにチューブから出してそのままナイフで描けるくらいの絵の具の硬さがある
- メディウムを使用することによって、乾燥時間をやや伸ばすことができ油絵のように混色しやすい
- メディウムを使用することによって、より油絵のような練りの強さと光沢感を表現することができる
油絵風タッチにおすすめの硬さの絵の具は、リキテックス「レギュラー」と「プライム」
リキテックスの種類は「レギュラー」「ソフト」「プライム」の3種類です。油絵風タッチに向いているのは「レギュラー」と「プライム」。レギュラーもプライムも、絵の具に適度な硬さがあるため、油絵風に描きやすいです。とはいっても、油絵の具よりは水っぽく柔らかくなっています。しかし、絵の具に「メディウム」を混ぜることによって、硬さを変えることができます。
リキテックスの種類の違いについては、以前記事にまとめましたので、よろしければご覧になってください。

絵の具の練りの硬さや光沢感を調節できる「メディウム」が豊富
リキテックスには絵の具の練りの硬さや光沢感を調節することができる「メディウム」という媒体があります。リキテックスの絵の具に混ぜることによって、絵の具の質感を変えることができます。メディウムを使えば、ナイフでざっくり描くもりもりな油絵風タッチ、ツヤツヤな油絵風タッチ、マットな油絵風タッチなど、様々な表現が可能になります。
ツヤ感がある油絵タッチにおすすめのメディウムは「ジェルメディウム」
ツヤ感がある油絵タッチを描きたい時におすすめなのが「ジェル系」のメディウム。
- ヘビージュエルメディウム
- スーパーヘビーメディウム
などをリキテックスの絵の具に混ぜると、油絵の具のようなつや感と硬さを表現することができます。
マットな質感の油絵タッチにおすすめのメディウムは「マットジェルメディウム」
マットな質感の油絵タッチを描きたい時は「マットジェル系」のメディウム。
- ウルトラマットジェルメディウム
- マットスーパーヘビージェルメディウム
などをリキテックスの絵の具に混ぜるとツヤ感を消しつつ、盛り上げて描くことができます。
油絵の具に比べてリキテックスが自室で扱いやすい理由
リキテックスが油絵の具に比べ、自室で使用しやすい理由は以下の通りです。
- 乾きが早い
- 汚れが落としやすい
- 匂いがしない
1.乾きが早い
リキテックスは乾きが早いので、描いた絵の保管がしやすいです。
完全乾燥時間 | |
油絵の具 | 約半年〜1年 |
リキテックス | 約72時間 |
塗った絵の具の厚さなどによって乾燥時間は変わりますので、上記の時間はあくまで目安です。
しかし、油絵は描いた後もまわりにくっつかないように、長期間気を使わなくてはなりません。
リキテックスであれば3〜4日で完全に乾くので安心です。
乾きが遅いほうが描きやすいと言う方もには「スロードライジェルメディウム」がおすすめです。
絵の具にスロードライジェルメディウムを混ぜると、乾燥速度を40%遅らせることができます。
2.汚れが落としやすい
油絵の具による汚れを落とすのは至難の技です。しかし、リキテックスは水に溶けて乾くと固まる絵の具のため、机や家具に付いてしまっても、乾くまでは比較的落としやすいので、自室でも扱いやすい絵の具とだと思います。もし固まってしまっても、ペインティングナイフなどで削れば落とすことができます。
3.匂いがしない
アクリル絵の具はほぼ無臭です。油絵は絵の具自体も匂いがしますし、画溶液のシンナー臭がかなりのもの。アクリル絵の具の画溶液は「水」または「ペインティングメディウム(ほぼ無臭)」です。そのため自室で使用しても匂いが気になりません。
リキテックスは油絵の具よりも安価で経済的
リキテックスは、油絵の具よりも安価で経済的な点もおすすめの理由の一つ。
写真左の絵の具が20mlサイズ、写真右の絵の具が60mlサイズです。
税抜価格 | |
20ml | 280~880円 |
60ml | 710〜2,200円 |
※リキテックスは色によって価格は異なります。
※油絵は20mlの絵の具で約400円〜2,500円くらいします。
色によって価格が異なる理由は顔料の材料の違い
白や黒、茶色は安価ですが、鮮やかな色は高価であることが多いです。一番安い色と高い色では、3倍近く価格が違いますが、その理由は顔料の材料にあります。(色によって絵の具の価格が違うのはアクリル絵の具も油絵の具も同じです)例えば、フェルメールの名画「真珠の耳飾りの少女」の印象的なブルーには「ウルトラマリンブルー」という絵の具が使われています。ウルトラマリンブルーの顔料は「ラピスラズリ」という宝石を砕いたもの。宝石を材料にしているため絵の具の価格も上がります。
そんな高い絵の具には手を出しずらいですが、高い顔料と同じくらい鮮やかな色を安い顔料再現した絵の具もあります。絵の具の名前の後ろに「ヒュー」という単語が付いているものです。例えば「セルリアンブルーヒュー」などです。名前の最後に「ヒュー」が付いている絵の具は、安価な顔料を合成して高価な色を再現した色です。
リキテックスを購入できるお店
リキテックスはユザワヤや世界堂などの画材店や、amazonや楽天などの通販で購入することができます。実店舗の場合、世界堂に比べユザワヤの方が店舗が広いためのんびり絵の具を吟味することができます。(世界堂もわくわくするので大好きですが、商品棚と商品棚の間が狭くゆっくりは見づらいです)
まとめ
重厚なタッチを気軽に再現できる「リキテックス」。油絵の具に比べ、絵の具・筆ともに価格が安価で試しやすいことが魅力です。
